ゆゆブログ

臨床検査技師からフィールドサービスエンジニアに転職しました。

Q&A③|将来的に臨床検査技師の需要が無くなると聞きましたが、どう思いますか? (質問者:高校生、検査学生ほか)

こんにちは、ゆゆ(@yuyu_medtech)です。

……さて、「臨床検査技師になったきっかけは?」「どうして転職したの?」など、これまでにTwitterで多くの質問を頂きました。そこで今回、質問とその回答の一部をブログのコンテンツとして再利用させていただこうと思い立ちました。質問内容と回答はブログ用に改変・追加するなどまとめ直しています(いまならこう答える、みたいな)。

今回は第3回目です!

それではスタート!

(インタビューみたいになっていますが、インタビューされたわけではありません……)
 

|将来的に臨床検査技師の需要が無くなると聞きましたが、どう思いますか?

(質問者:高校生、検査学生ほか)

 

──大学受験生です。臨床検査技師に興味があるのですが、将来需要が無くなると聞きました。本当でしょうか?

 

臨床検査の姿は、将来にわたり必ず変化します。時代とともに自分自身も変化していこうと考えているなら面白い仕事だと思います。

「需要が無くなる」というネガティブな意見に左右される必要はありません。そのような“予言”は、考えの浅さから来ていると僕は思います。

高校生の今の時点で、どんな仕事をしたいのか?、どのように成長したいのか?、それらが臨床検査技師で実現できるのか?を前向きに考えてください。

自動分析装置などの出現で臨床検査技師の数は昔と比べればだいぶ減ったと聞きます。しかし、臨床検査技師の仕事がなくなったわけではありません。前職の上司から聞いた話ですが、

『昔々、患者検体と試薬を恒温槽で反応させ、分光光度計で測定し、検量線から電卓を使って濃度を計算。用紙に手書きでひとつひとつ検査データを記入して報告。かなり多くの臨床検査技師が働いていた。自動分析装置の登場で効率化され人員も大きく削減。』

……今はより少ない人数で、多くの検査を行うことができるようになったのです。

そもそも人口自体が減っています。人手不足になります。人員削減(採用人数の減少)は必須ですし、実際にそのような流れになっています。すでにいる臨床検査技師が解雇されるのではなく、新人採用数を減らせるということですね。

 

──臨床検査技師はAIで将来『消える職業』だと聞きましたが?

 

AIで消える職業・消えない職業とよく言われますが、だいたいこれか、これを元に書かれた雑誌の記事がソースですかね。

《THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?》(Carl Benedikt Frey and Michael A. Osborne, September 17, 2013)

消える職業といわれているものは『コンピューター化できる確率が高い順』で上位という意味です。この中でランク順533位に臨床検査技師(Medical and Clinical Technologists)と記載されています。消える職業と表現するか、効率化できる職業と表現するか。

私自身、AIが臨床検査技師の仕事を奪うという意見をよく聞きますが、馬鹿げていると思います。
AIで大きく効率化できる仕事、それが臨床検査なのです。もっと効率的に、効果的に、医療に貢献出来るのです。

AIによって「臨床検査技師は○十年後に消える」のではなく、「○十年後にとても効率が上がる」のです。今よりも少ない人数で大量の検体を処理できるようになると考えるとワクワクします。

現時点では検査技師が自らやらなければいけないデータチェック・解析などの作業の一部がAIにより自動化・効率化される可能性があります。「ここまでは機械、ここからは人がやらなきゃ無理だね」といっている作業のアレコレが、さらに効率化されるのです。自分でやったことを自分でチェックしているのが今だとします。未来では、AIがやったことを人が最終チェックすればよくなるでしょうね。力量による差を埋める、標準化のためのツールにもなり得ますね。

AIは、将来的には特別なものではなくなりますが、現時点では特別なものです。ルーチン業務に落とし込むのはこれからの仕事です。これはメーカーだけではなく、現場で働く臨床査技師の仕事でもあるでしょう。医療の効率化に貢献できる、やりがいのある仕事だと思いますよ。

効率化の結果として、ひとりの臨床検査技師が扱うデータ量や仕事量はますます増えるでしょう。時代とともに自分自身も変化する、そのために何をすべきかを常に考えられる臨床検査技師になってください。

 

──検査学生1年生です。Twitter臨床検査技師の方を見ていると職場がブラックだったり、転職を考えている方が多かったりで不安しかありません。臨床検査技師の仕事に興味が持てず、一般企業での就職も考えています。臨床検査技師の将来は明るいのでしょうか?

 

給料が低い、ブラックな職場が多いのは検査技師に限らず、一般企業も同じです。また、不満の声はポジティブな意見よりも大きく発信されます。気にしないようにしましょう。

病院だろうと企業だろうと、どこに就職するか、それが大事です。できるだけ良い職場に就職できるように、自分が一番興味があり、力を発揮できそうな道に進んだ方が良いです。自分が得意な分野、興味のある仕事を学生のうちに見つけましょう。

臨床検査技師にも、いろいろな仕事内容があります。仕事内容とかお給料とか、調べることがモチベーションアップに繋がりますよ。

《一般企業》とか《将来性》という言葉はとてもフワフワしていて、考えるだけで悩みが増えます。できるだけ具体的に物事を考えるのがこれから先は必要だと感じます。

現時点では臨床検査にそれほど興味がないかもしれませんが、本格的な勉強はこれからだと思います。ひとつでも楽しいと思える科目があればモチベーションを維持できます。全て好きになる必要はありません。臨床検査技師になるのであればもちろん、他の一般企業に行くとしても、検査学科出身の人材には変わりありません。最低限、国家試験は通るべきだと思います。就職先では、検査技師の資格にこだわる必要はありません。進路は幅広くあります。いろいろと仕事を調べて楽しそうな仕事を探しましょう。聞いたことのない、いろいろな仕事があるはずです。

臨床検査技師の将来は明るいかというご質問ですが、そういうことを考えてまで臨床検査技師を目指す必要はありません。一般企業に行くとしても同じです。将来性うんぬんの話はこれから何度も聞くと思いますが無視しましょう。臨床検査技師だろうと一般企業だろうと将来なんて予想できません。意味のない話です。

検体検査だと人員は減っていくでしょうが、仕事の魅力が減るわけではありません。他の職種も同じです。とにかくやりたい仕事(内容でも待遇面でも)に就けるように目の前のことを頑張りましょう。

楽しくやってそうな検査技師や企業の人たちのアカウントをフォローしてモチベーションをあげましょうね。直接いろいろと聞いても良いと思います。

 

以上です。将来性というふわふわした言葉に翻弄される必要はありません。意味の無い話で、どこに行っても同じです。次の記事は最終回、どうして臨床検査技師を辞めて企業に転職したのか?についての質問とその回答をまとめてみたいと思います。

Twitterのフォローはしてると思いますが改めてよろしくお願いします。

@yuyu_medtech